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立命館大学男子陸上競技部は立命館大学の体育会の部活です。

〒525-0058 滋賀県草津市野路東1-1-1クインススタジアム


伊坂忠夫部長コラム
2015年


10月

【キャリアを考える】

 

 昨今は、大学も含め学校教育の中で、いわゆる「キャリア教育」が導入されています。キャリアときくと、就職活動と同義にみられ
ますが、基本としては、生涯をどのように過ごすのか、その過程、という意味となります。同時に、生涯(ライフキャリア)の多くの部
分を、働く・仕事をする、という観点で、どのように仕事をするのか(ワークキャリア)ということで熱心にキャリア教育が行われていま
す。 
働く年齢に達したとき、大抵の人は18時間程度、つまり1日の1/3の時間を働くことに費やします。働くことは、生活の糧を得
るというだけにとどまらず、自己実現、社会貢献につながる大きな事業です。とすれば、「何をして働くのか」、「どのように働くの
か」、は人生にとって大きな意味を持ちます。人生が「幸せ」になることを誰もが望みます。その幸せを実現するという意味の中に
は「良い仕事をする」ということも含まれていると考えています。
良い仕事をしようと思っても、すぐに成果が出せるわけではありません。まずは、仕事の進め方を知り、組織としての役割を理解し
て、そして仕事の中でアイデアをだしながら、イノベーションを起こしていく必要があります。その前に、大学生にとっては、就職活
動によって、働く先を見つけることになります。日本だけでも相当な数の企業あり、どこの企業と縁を持つかは本当に確率からい
えば、「偶然」といえるほど低いといえます。とはいえ、やみくもに活動するのではなく、自らの方向性(軸)をしっかり持った上で、
相手を知り(業界研究)、自分を知り(自己分析)、進めることになります。その就職活動を迎えた学生の相談を受けることが多い
ですが、ポイントは3つと話しています。それは、@人間力、A将来性、B本気 であることが評価されると。
これらの3つとも、一朝一夕で身につくものではありませんが、日頃から、何を実現すること(貢献すること)が幸せになるのかを
イメージしながら、そのための具体的な仕事を考えておくことが必要になります。学生諸君が、みずからの人生の目標(ビジョン)を
意識しながら、そこへ向けて、大学の正課・課外、そして大学外での学びを通じて力を高めて、自らのキャリアを切り開いて欲しい
といつも願っています。
 

20151016伊坂]


8月

【門を叩く】

 

今年の夏は、記録的な猛暑です。残暑も厳しいと予想されます。そんな中、部員はみな元気に、秋、冬のシーズンでの成果をあげるべく夏合宿をはじめトレーニングを積んできたようです。この夏での仕込みが必ず、実り多い秋、冬のシーズンにつながります。 

さて、夏休みとなると、トレーニング以外にも、帰省して、旧友と会ったり、キャリア形成のためにインターンシップに出かけたり、資格の勉強などに時間を使っていることでしょう。まとまった時間を利用して、普段はなかなか取り組めないものにチャレンジしていることでしょう。今回は、アメリカから来た高校生、K君について紹介します。ご両親とも日本の高校を出た後に、アメリカの大学を卒業し、そのままアメリカで仕事をされています。そのためK君は、アメリカ生まれ、アメリカ育ち。アメリカの学休期間には、日本の小学校、中学校に通っていたようで、日本語は十分に、読み書きできます。そんなK君から、7月初め頃に直接メールをもらいました。将来のキャリアを考えて、この夏休みの期間に将来につながる何かしらの経験をつみたい、できればインターンシップのような機会を与えて欲しい、という内容でした。その日本語の文章が、本当によく書けていました。メールでは雑な文章、体裁が整っていない文章には、しょっちゅう出くわしますが、初めてメールを書く相手のことを考えて、かつ自分のことを丁寧に説明し、伝えたい内容がしっかり伝わる文章でした。  もちろん、受け入れOKの返事をすぐに送り、日本到着早々に研究室に来てもらい、お話をしました。第一印象は、「しっかりと物事を考えていて、まっすぐとした良い眼を持っている好青年」です。研究室紹介、施設紹介を終えて、将来のキャリアについて話をしましたら、大学進学は医学部か生物学部を考えているとのこと。アメリカの難関大学への進学を検討しているとのことで、バイオメカニクス、生理学に関連する実験に参加してもらい、そこで得られた実験データ(主に筋電図)を解析してもらうことにしました。仕事ぶりも熱心で、覚えも良く、丁寧に進めてくれました。さらに日程の関係ですべてやりきれない分は、アメリカでも作業を続けて送りますとのこと。最後までやり切ることを望んで、そのように申し出てくれました。このように積極的で、意欲溢れる若者に出会うと、周囲のものは元気をもらえます。同時に、若者にチャンスを与えたい、という思いを多くの社会人が持っています。

インターネットの世の中は、人に会いに行く、訪ねるためのやりとりを少なくしてくれます。まさに「門を叩く」ことを容易にしてくれています。一昔前であれば、誰かに紹介してもらい、手紙でやりとりして、という段取りをいくつも経て、ようやく会えることになります。もちろん、その段階を踏む、というのも重要な経験です。一方で、いまや直接にコンタクトがとれ、即時にやりとりができる時代です。もちろん、メリットだけでなくで、使い方を間違えるとデメリットにもつながりますが、今回のケースのように、自分の成長、キャリア形成に「一歩踏み出す」ためには、強力なツールです。インターネットに、より慣れている若い世代の人たちが大いに活用して、自分の成長につなげて欲しいと願っています。ただし、あくまでも初めてコンタクトを取るときには、K君のように、礼儀正しく、かつ相手の立場をおもんばかり、その上で内容を的確に伝えられる文章を十分に準備することが重要になることは言うまでもありません。 そして、もう一つ重要なことは、そのような関わり、チャンスをもらった締めとして、「お礼を述べること」を忘れなければ、さらにチャンスを広げられる人になるでしょう。最初のコンタクト、実施、そしてお礼、と一気通貫で完結できるように、心がけて是非、これから多くの人を訪問し、自分を磨いてみて下さい。 
  

20150817伊坂]


5月


未来が過去をつくる 

立命館憲章の精神に則り、2020年における学園像として、学園ビジョンR2020のコンセプトとあらわす言葉に、Creating a future Beyond Borders 「自分を超える 未来をつくる」があります。 

「未来」は予想することは難しく、不確実です。その一方で、未来はすべての人にあり、自由に自らの未来を想い描くことができ、その想い描いた未来を創造していくこともできます。どんな未来を想像し、その実現へ向けて努力を重ね、望む未来を創造する。このような未来思考によって、この間の人類の発展がありました。 

 このような未来を創り出すことと関連してよく言われることに、「未来と自分は変えられる。でも過去と他人は変えられない。」と表現されることもあります。事実、履歴としての過去は変えられないことは当然です。しかし見方をかえると、そのような過去の事実、履歴を輝かしく見せることができます。 

 それは、「未来をよくすること」「未来で成功すること」です。どんなに過去に失敗したとしても、つらいものがあったとしても、そのような事実、経過は、未来での成功のプロセスとして輝いてきて、よい思い出として語られるようになります。事実としての過去は、事実として受け止めながら、未来をよくする、望む未来にする、未来を創り出すという決意とその目標への集中、さらにはハードワークによって、自らの手で未来を変えることで過去の見方は変わります。


 したがって、「未来は変えられるだから過去も変えられる」ことになります。

 未来をよくして、これまでのプロセスが輝く世の中になることを願っています。

20150529 伊坂]

4月

【問う力】

 春のシーズンが始まりました。京都インカレでは、見事に総合優勝を勝ち取り、次の関西インカレに向けて良い流れができました。 

 今年も多くの新入部員が男子陸上競技部の門をくぐってきました。大学の体育会でスポーツを行う学生アスリートは、当然のことながら本業としての大学での学びと課外でのスポーツ活動の両立が求められます。両立することで成長する多くのきっかけ、道筋を手に入れられますが、達成するには高い水準の志と実行力が必要です。 

 大学では、高等学校までとは異なり、学問研究を通じて自らの課題を発見し、その課題解決を進めることになります。研究を進める第一は課題の発見(設定)です。これまでに積み上げられてきた研究成果、背景をまとめて、何が課題であるかを明確にする必要があります。言い換えれば、問題を設定する力「問う力」が求められます。 

 課題は何か?、その課題の意義は?、その課題を解決する方法は?などなど、なぜ?なぜ?と問い続けることが必要です。まさに、大学の学びは、この問い続けられる力、そして具体的に実行する力が求められます。特に、「問う力」は正課だけでなく、課外のスポーツ活動においても必要な力です。 

 問いの設定にあたって大事なことは、簡潔に言い切れる内容であることです。何が課題かを明確にいえないということは問いが煮詰まっていないことです。問いを明確にすることが、次の問題解決のステージをスムーズに進めてくれます。 

 よくあることですが、問いを煮詰めている、といいながら、堂々巡りの議論、悩みばかりで結論がでないこともあります。「悩む」と「考える」は大きく異なります。次のように整理できるでしょう。

悩む:結論や答えを出すこだわりが少ない。思考停止。ネガティブ、感情でものごとを捉える。主語が一人称

考える:結論や答えを導くことにこだわりがある。体系的に整理。論理的。ポジティブ。主語が一人称以上

 

 大学生活では、大いに「問う力」を高めて欲しいと願っています。そのためには、悩むのではなく、「考える」「考え抜く」というトレーニングを積んで欲しいと願っています。

 

20150424 伊坂]

3月

【仕事の成果を表す公式】

 3月末となり卒業シーズンです。

 社会人となり、企業、公共団体などで働く、研究をさらに深めるために大学院へ進学する、留学する、などそれぞれのキャリアに向けて進んでいきます。

 大学の4年間は、自由な時間がタップリあると思っていても、振り返れば「あっ」という間に感じられるでしょう。この4年間、大学・学部で学んだこと、課外で学んだこと、友人を含めた人間同士で学んだことなどをしっかりと持って、これからのスタートに活用して欲しいと願っています。もちろん、新しいスタートとともに、さらに学んだものを加えて、より良い人生を歩むための資源を増やしてください。

 スポーツ競技に携わってきた人にとって、競技成績を高めるために日夜トレーニング、技の鍛錬に勤しんできたことでしょう。スポーツの競技力は次の公式で表されることが多いです。

 競技力 = 体力 × 技術 × 心理

 競技力を上げるには、ここにあげたように、その競技に求められる体力、技術、そして心理について高めておくことが求められることを示しています。ですので、アスリートはこの3つを高めることを意識して日頃のトレーニングを積んでいきます。

 では、仕事、研究の成果を考えるときの公式は、どのようなものになるでしょうか。一つの考え方として、

 仕事の成果 = 才能 × 努力 × 考え方

となるでしょう。才能(能力)、努力は、正の整数で考えられます。つまり両者のかけ算は、正の数字です。一方で、考え方(哲学、ビジョン、ものの見方)は、社会全体で捉えたときに、マイナスからプラスまで幅広い数字を持ちます。言い換えると、仕事の成果を決める項として大きな意味を持つことになります。ですので、単なる儲けだけを追求するのではなく、「世のため人のための成果」として何を求めるのか、という考え方がしっかりしていないと、大きなプラスにつながりません。卒業生には、このあたりをしっかり念頭に入れて、大きな成果をあげてもらいたいと願っています。

20150321 伊坂]





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